1週間ほどして、化粧品の新作発表会があり、ハルビィの会社の化粧品もたくさん会場に並べられて話題にのぼった。

とくに化粧品をより魅力的にみせる容器の美しさと斬新さに話題が殺到して、ハルビィもマスコミにインタビューされた。


「発表会での成功おめでとうございます。
それにしても女性たちの評判すごいですね。

この白鳥をテーマにした容器の美しさもすごいですね。」
デザインはどなたがされているんでしょう?
噂では、ドネリティ社のエリンティア元社長ではないかと言われていますが?」


「いえ、違いますわ。
これはうちのメルヘン好きの1スタッフが考えたんですのよ。
その娘がエリンティアさんのファンっていうことはあるかもしれませんわね。
とてもかわいいものが好きですのでね。おほほほほ。」


「それが功を奏したということなんですね。
運がめぐってきたということなんでしょうかね。」


「そうですわね。
我が社はもともとは化粧品の中身で勝負してきて、アイドルやたくさんの芸能人に商品をお使いいただいてきましたが、これからはこういったかわいい容器で販売して、市販品にも力を注いでいこうと思っていますの。」



クリーブとレッドはインタビューの様子をクリーブの家のテレビで見ていた。


と、そのときクリーブのスタッフから連絡があり、ハルビィの邸の中でエリンの姿を確認したと連絡が入った。



「そうか。よくやってくれた・・・あとは僕が確認するよ。ありがとう。」


「レッド、エリンはハルビィの邸の中で生活してるのがわかった。
それに、うちのスタッフが化粧品工場の方へ出かける時間など、1日のタイムテーブルを記録しておいてくれた。
彼女は昼過ぎに工場へと出向いて、容器のチェックをしているらしい。
そのときは、護衛は最小限になる。」


「じゃ、すぐに助け出さなきゃ!」


「待て、助け出したとしても、またあいつらは彼女を誘拐するだろう。
この成功で、あいつらは損失を取りかえすだけではなく、エリンがいれば利益になることがわかったんだからな。」


「じゃ、どうすればいいんだ?」


「マグナリーク家をたたきつぶすしかない。」


「でもそんなことをしたら・・・。あんちゃんの立場も!」


「大丈夫さ、不正を正してその後、真面目にやればいずれ、正しいものに人の目は魅かれていくよ。
リエッタもハルビィもまだ若い。
考え直して、勉強しなおさなければいけないんだよ。

大丈夫、生活は僕が面倒をみるから、心配はいらない。
だから、おまえはエリンを優しく迎え入れればいいんだ。」


「いいのか?あんちゃんだって・・・エリンのこと。
俺は、あんちゃんとは正々堂々と・・・」


「やだね。僕はそういうのはしない。
きれいで優しい女性を取り合うなんて無粋な行動はしないんだ。

それに、エリンの気持ちはわかってるからな。
僕が自分のものにしようとしたとき、記憶がないはずなのに、君の名前がポンと出てきて、しかもドアの前におまえがいて・・・僕はいっぺんに悪役へと真っ逆さまだった。

だからレッドが死にでもしない限り、僕は脇役なんだよ。」


「あんちゃん・・・すごいな。俺はそんな繊細な神経持ち合わせないバカだ。」