最初に口を開いたのはラングリオだった。


「いったい何があったんだ?」


「あのね・・・。」


エリンがタイラズ社長たちが持ってきた話から説明すると、横からレッドが口を差し挟みだした。


「エリンもそういうお年頃だってことだな。
話が来るうちにいろいろ経験しておくにこしたことはないだろ。」



「レッド、昨日は子ども扱いしてバカにしたくせに、今日はいきなり年頃ってなによ!」


「いい話が来るうちにって話だよ。
社長命令だから、君は仕事と勘違いでもしてるんじゃないのか?」



「フン!ハンクはレッドと違ってとても紳士的よ。」


「へいへい・・・せいぜい、若い時間を楽しんでこいよ。」


「エリン、家にはちゃんともどらないとダメだからね。
父さんと母さんは心配するから。

それはわかってるね。」


「ええ、大丈夫よ。ラング、遅くなるようだったら連絡いれるから。」


「うん。頼むよ。」


「ラングリオ君だったかな・・・君が大家さんの息子さん?」


「よく御存じですね。」


「僕の両親は彼女の両親も知っているし、彼女を娘のようにかわいがっています。
だから、心配はかけないでほしくって。」


「大丈夫です。ちゃんと俺がお宅までお送りしますから。」






エリンたちは事務所とエリンのデザインルームを出てから、美術館へ出かけ、その後、遊園地へと出かけた。


「また・・・遊園地。」


「ごめんね。君にとっては面白くないかもしれないけど、いっしょに観覧車に乗りたくてね。」



2人が観覧車に乗っていると、数人の男たちが双眼鏡を手にして見張っていた。


「なかなか金になる組みあわせだな。」




その頃、レッドとラングは事務所で少し口論していた。


「おい、どうして、僕の兄だといわなかったんだ!」


「言ってどうするんだ?」


「兄さん、昨日からどうしたんだ?
あんなに不機嫌なエリンだって初めて見るんだけど・・・?
もし、けんかしてるんなら早く仲直りしなきゃ!」


「俺は何も悪くないからな。」


「何を変な意地はってるの?
他のヤツはどうだかしらないけど、僕は兄さんの行動くらいわかってるんだからな。

デザインのできるイケメン男とエリンがいい雰囲気なもんだから、すねてるんだ。
しかもそこツッコまれると、保護者づらしちゃってさ。
レッドの本当の妹たちだってそういう保護者づらは大嫌いだと思うな。」


「うるせ~よ。俺にはどうしようもないだろ。
社長命令のお見合いだし・・・。

それにハンクは二股かけてるわけでもない。
金目当てでもない。
普通に付き合ってる男女に割って入る方がおかしいだろうが。」



「レッドはそれであきらめられるの?
ちょっと口論しただけの彼女を手放せるの?

あんなに必死で捜しまわって、やっとの思いでクリーブの家から連れ帰ったんだよ。
何度も助けてレッドって呼んでくれたって自慢してたのは、あのときだけかい?」