家にもどってもエリンの機嫌はなおらないまま、エリンをおいて実家に帰るわけにもいかないレッドは、実家にエリンを送り届け、自分が赤い屋根の家にもどった。


「仕方ないなぁ・・・狙われる可能性のある女の子をひとり置いておくことはできないから、俺が当分こっちで独り暮らしすることになりそうだよなぁ・・・。」



翌日、ドネリティ本社に役員会から呼ばれたエリンは現代表取締役であるタイラズから役員たちを代表しての申し入れを伝えられた。


「突然、申し訳ないが・・・君にいい話がきているんだ。」


「はぁ?新しい仕事ですか。」



「いや、縁談だよ。」


「そうですか、縁談・・・えんだ・・・ん?!」


「そうなんだよ、君と同じデザイン部門で活躍中のハンク・リブライン君と今日のランチをいっしょにしてもらう約束になっている。」



「えっ・・・そ、そんな急に?どうしてですか?
私はそういうお話はまだ・・・。」



「早くはないぞ。遅すぎるくらいだ。
もう25だし、見た目が若いからって特定の男がいないと、君だって先日のようにいろいろな事件にまきこまれてしまうことになるだろう?」



「ま、まぁ・・・そうですけど。」


「とにかく、ランチくらいはいいだろ?」


「ランチくらいなら・・・でも、お話してあまりにあわなかったら・・・お断りしても?」



「うん、あまりにあわなかったら私は無理にとはいわないよ。
君のお父さんだって、一生添い遂げられない相手を無理にとはいわないだろ?
もちろん、よくわかっているよ。
べつに、政略結婚ではないのだからね。」



タイラズ社長からの話に戸惑いながらも、ランチタイムがきて予約している店までタイラズ自らの案内でエリンはやってきた。


「おお、もう座ってるな・・・さぁ、我々も行こうか。」


「は、はい。」


「あれ、君は・・・!」


「あっ、あのときの・・・まさか・・・前の社長の情報って・・・!」


「君がエリンティアだったんだね。
すまない、秘書課の人と間違えたりして。」


「ほう、2人は面識があったのか?
それなら話は早いな。

うんうん、それじゃあとで付き合うかどうするかだけ教えてくれよ。うわっはっはっは。」


「俺はハンク。ハンク・リブラインだ。
よろしく、エリンティア。」


「あ・・・私のことはエリンでいいですから。」


「だめだよ。それじゃ、お友達の付き合いになってしまうだろ。
俺たちは紹介されたとはいっても、これからデートをする間柄なんだからね。」


「でも、エリンティアって呼ばれるのは慣れてなくて・・・。」


「だからエリンティアなんだよ。
きれいで上品な女性にぴったりだ。」