ふとレッドが思い返してみると、仕事が忙しくなったせいか、クリセラやナナミア、そしてエリンもどこにも遊びに連れていっていないことに気付いた。


「そろそろどっかへ連れていってやらないとダメかなぁ。」


「あ、クリセラとナナミアはもういらないみたいだよ。」



「なんでだ?」


「2人ともボーイフレンドがいるんだってさ。
それもけっこう多数らしいぞ。人気者だね。」



「ぬぁにぃーーーーー!!!
そんな話はきいてないぞ。俺は認めんからなっ!」



「兄さん、何を親父臭いこと言ってるの。
親父だって責任ある行動はしろとは注意してるけど、付き合いは禁じてないぞ。」



「なぜだ!父親のくせになんでそんな理解あるフリをするんだ!」



「時代の流れじゃないか?
いまどき、何でも反対っていうのは嫌われるもとでしょ。」



「俺は嫌われるのか?
エリンもかな・・・俺が誘ったら迷惑がるかな。」



「そんなことはないんじゃないかな。
エリンは記憶喪失のあとは仕事続きで、彼氏なんて作るヒマなんてないじゃないか。

それより、同じ家で暮らしていて兄さんとはまだ何もないのか?」


「ない!
寝顔は見たことがあるけど、男女の何は・・・ないんだ。」


「マジか?
兄さんが、本気でまだ何もないのか?」


「おい、どういう意味だよ。」


「だってさ、兄さんは就職した頃くらいから、いろんな女の子と付き合ってたじゃないか。
まぁ、特定してなかったみたいだけど、けっこう泊まって来るのも多かったように思ったけど?」



「あ、ああ・・・まぁ否定はしないけど、エリンにはそんなことはしたくないっていうか、できないっていうか・・・クリーブにせまられてるところにたどり着いて名前を呼ばれて・・・気がついたら彼女の手をひいてもどってきて・・・けど、記憶がなくてももどっても『レッド』って呼ばれるとそれだけでうれしくてさ。

あ、俺何言ってるんだ?これじゃてぃーんえいじゃーーだよなぁ。」


「いいんじゃない?
たぶんそれは、兄さんにとってエリンは大切でかわいい人なんだということだろ。」


「やっぱり?あっ、このことはエリンに言うなよ。
他の誰にも言うなよ、言うな!」


「わかった。わかったよ。
でも、父さんと母さんは知ってるから。」



「ぶーーーーーっ!!ゴホゴホゴホ。なっ・・・」


「親なんだから息子の変化くらいわかるだろ。
僕でもわかるくらいなんだから。」



「そんなにわかるか?」



「うん。少なくとも兄さんの過去を知ってる人間としてはすぐにわかるさ。」



「そ、そうか・・・。」