部屋にもどったレッドはラングリオとリエッタのことを話していた。


「ひどいなぁ。兄さんは・・・僕の名刺を渡すなんて!」


「仕方ないだろ。俺は店がない限り職なし肩書きなしなんだから。」


「それにしてもエリンはどこに行かされたんだろうね。
とにかく早そうな情報はリエッタ次第ってことになるのかなぁ。」



「ドネリティ本社に連絡してリガオンにも協力してもらうことにした。
今頃、探偵が調べにかかってると思うが・・・まずは手がかりがないとな。」



レッドが島を出る手続きをして、帰る準備をすすめていると、リエッタからラングリオに電話がかかってきた。


「はい、ラングリオです。」


「リエッタですけど、この間はご足労いただいて申し訳なかったわ。
ごめんなさいね。

ところで、エリンさんの行方がわかったわ。」



「それはどこ?」


「クリーブ・ラミ・カロンドの邸よ。
私とは異母兄妹の兄の家にね。」


「どうして、そんなところに・・・」



「さぁ?さらった人たちにきいてみないとわからないわね。」


「とにかく、情報は教えたわよ。
デザインのことまた考えておいてね。

あっ、ラングリオさん・・・風邪なの?
ちょっと声がどもってるみたいだけど・・・。」


「ゴホゴホ、じつはそうなんだ。
エリンが心配であまり眠れなくてね・・・。」



「それはお気の毒だわ。
私もクリーブの邸に電話でもできればいいんだけど、私たち仲が悪くてね、お互いの電話番号も知らないのよ。

とにかくエリンさんを取り返したいなら行ってみてとしかいえないわ。
ごめんなさいね、ここまでしか力になれなくて。」



「いや、とてもうれしいよ。ありがとう。」



「じゃ、お元気で。
またお会いできたらお会いしたいですわ。」



電話を切ったラングリオはムッとしながら、つぶやいた。


「クリーブ・ラミ・カロンドの邸だって。」


「クリーブって映画の?」


「そう、役者ならお近づきになりたい男、ナンバー1の映画会社社長だな。
彼が異母兄妹の兄なんだってさ。」


「ほぉ・・・あんちゃんがねぇ・・・。」


「レッド、あんちゃんって??」


「ああ、俺が悪ガキ大将だった頃にな、喧嘩の仕方を教えてくれた近所の兄ちゃんだったんだ。
確かあのときは、近所のお金持ちの家でお母さんがメイドしてて、彼は馬番の仕事をしていたはずだな。」


「す、すげぇ。レッド、そのつながり・・・すばらしすぎる!」



「そうみたいだな。あんちゃんとこならエリンは大丈夫だ。たぶん・・・」



「たぶんって何?」