リガオンが苦笑いして、話を続ける。

「ちょっとそれだけだとぶっとんでしまうけどね・・・理由は何かとあるんだと思う。
それは僕の調べではまだわからないね。

ただ・・・。」


「どうしたの?」


「うちは資金難だったから、逮捕者云々騒ぎで・・・もう限界みたいなんだ。」


「倒産するってこと?」


「うん。リストラリストもあるけれど、それどころではとても・・・」


「合併しなきゃやっていけないってことね。」


「でも、ドネリティだってそこまで余裕はないだろ?
しかも、リリーが何かと画策しているわけだし。」


「確かに・・・何とかドネリティとしてやっていけるだけでいっぱいだけど・・・。
でも、大きな会社としてやっていかなくてもいいと思うわ。

会社は父の会社だし、私は自分の力で自分の会社をやりたかったんだし、たとえリリーが何か仕掛けてきても私の頭の中の案までは盗めないわ。」


「なるほど・・・確かに。
ドネリティの強さは確かに経営手腕によるものだったが、最近では君のデザインに魅かれてやってくる客が多かったね。」


「ええ、だから私を中心とした作ることや、デザインを中心とするお店を開こうと思うの。
最初はネットショップでいいし。」


「ドネリティはかなり営業力が低下してるから、そこに多くの人員がほしい。
だからガオンティルがつぶれてしまうなら、社員は引き受けるわ。」


「そっか・・・申し訳ない・・・。
早速、希望をみんなにきかなければな。」


「それと・・・ドネリティの社長をあなたにやってほしいの。
ダメかしら?」


「待ってくれ・・・僕はガオンティルの役員だ。
自分の会社の息の根をとめる役をしている人間だよ。」



「だけど、あなたのせいじゃないし、あなたはこうやってこういう嫌な仕事も率先してやってるじゃない。
それに、たくさん罠が仕掛けられていたのにもかいくぐってきたのでしょう?

私にいつも嫌な思いをさせてきた相手でもある・・・腹が立つけど経営手腕は私より上でしょ。」


「だが・・・社長なんて・・・。」


「じゃあ、共同経営者として始めて、1年ほどたったら社長就任でどうかしら?
もちろん、ドネリティも傾いた会社だからヘタをすればまた悲しい思いをしなければならないけれど・・・。」


「わかった。君がそこまでの覚悟をしているなら、僕もできる限りの知恵を出させてもらうよ。
ぜんぜんお門違いの会社にメチャクチャにされるのは嫌だからね。」


「じゃ、これからよろしくね・・・がんばりましょう。」