2人は自由に楽しいひと時を数日過ごせたが、すぐに事件は起こった。


ドネリティ社の専務と一部の営業、渉外担当がガオンティル社つながりで逮捕されたのである。


「いったいどうして・・・?」


「会社の利益や乗っ取り計画は、かなり巧妙だったということさ。」


リガオンがエリンのところへ来て説明しはじめた。


「リガオン・・・あなたは逮捕されなかったのね。」


「ああ、うちの損失と厄介事をなるべくうちで対処したかったから、海外のレストランを中心にあたってたんだ。
もちろん、僕も君との縁談からドネリティからの援助を考えなかったわけじゃない。

君が経理担当者になってがんばろうとしてくれたから、何かを示したかったんだ。」



「リガオン。やっぱりあなたはいいライバルだわ。」


「ふふっ、いちばんの褒め言葉だよ。
ところで・・・君が社長を解任されたときいて驚いたよ。

しかも、逮捕者が専務だなんてね。
で、そろそろ黒幕が出て来る頃かもしれないな。」


「黒幕って・・・私が社長解任されて何か起きるっていうの?
リガオン、あなた、いったい何を知ってるの?

私に言えないようなことなの?」


「ドネリティの会社も罠にはまってたんだ。
あの、かわいいものだったら何でもよしの会社にね・・・。」


「何なの?まだ何かあるの?」


「ああ、今回の黒幕はおそらく、リリーコーポレイションの女社長だ。
公にはまだなっていないが、いろいろまわってるうちに情報が流れてきた。

自分の会社にかぶっている品物に着手している企業をどんどんつぶすつもりらしい。
合併して社員を助けるなんていうことは考えない社長なんだそうだ。」


「どうしてそんな・・・!」


「彼女も親から受け継いだ会社だそうだが・・・これはあくまでも噂で、本当かどうかは不明な話なんだが、私生児の兄と利益で競ってるという話だ。
その兄の方なんだが・・・彼はあのクリーブ・ラミ・カロンドらしい。」


「クリーブって大手のブロダクションの社長の・・・?」


「うん。リリーコーポレーションもアイドル志望の女の子を集めて最近は人気だが、それも兄の会社に対抗するためだとか言われている。」


「ちょっと待って・・・そんなお家騒動的なことがどうして私たちの業界に飛び火してきてるのよ。」


「どうやら、彼女は父親が死ぬ時まで兄のことは知らなかったらしいんだ。
それで父親の遺言書を弁護士に見せられて初めて兄の存在を知って、しかも父親の遺産が兄にとられないためには1年のうちに兄よりも経営手腕が上であることを証明しなければならないらしい。」


「それで・・・かわいいもの?」