結局、レッドはラングに諭されて1日待つことにした。


(エリン・・・ごめんな。)



その日の夕方、エリンからレッドの家へ電話が入り、夕飯までにもどれないと連絡があった。

ラングの携帯にレッドが電話をしても、出られないの留守番電話になっていた。


「どうなってるんだ・・・。俺が原因なのに何もわからないなんて。」


イライラしながらベッドへ入ったレッドだったが、外で車の音がしてレッドはあわてて玄関へと向かった。



「エリン、どうしたんだ?
今まで会議だったのかい?」


「ごめんなさい、遅くなってしまって。
ラングに送ってもらったの。
ちょっと疲れたけど、解決策は見つかったわ。」



「謝るのは俺の方だ。
君が普通の娘じゃないって把握できてなかった・・・。
妹と出かけるときみたいに無防備で出かけてしまって。」



「いいの。楽しかったんだから。
そうよね、私は妹さんみたいに自由じゃないもの。

だから結婚相手まで決められてしまうんだわ。
あなたにはもう迷惑をかけないから安心して。
じゃ、おやすみなさい。」


「お、おい、エリン。
待ってくれ。
リガオンとそれでどうなったんだ?」



「べつに・・・結婚するかもしれないし、しないかもしれない。
ただ、言えるのはガオンティル社のわけのわからない損失を知る方が先ってことよ。

結婚して請け負ってわからない穴が大きくなるのだけは嫌ですもの。
私はそうつっこんであげたわ。

もしかしたらあなたもリストラされるかもね。フン!」



「リストラ・・・て。
それになんであんなに怒ってるんだぁ・・・。」



さっさと自室へいってしまったエリンと入れ違いに入ってきていたラングリオがクスクス笑っていた。

「さすが、レッド兄貴だね。」


「おまえ、自分家へもどったんじゃなかったのか?」


「そのつもりだったけど、ちょっとエリンが心配で来たんだよ。
なんかエリンは余計に傷ついちゃったみたいだね。」


「どういうことだ?」


「会社の損失のおかげで結婚話は進まなくなったけど、今回のことでエリンは心細かったんだと思うよ。
彼女の言っていることはいつも冷静で正確で、1つ1つ誠実だ。
だけど、周りのお偉方からみれば真面目くさった小娘にしか見えないんだろうね。

そんなときに、ご主人でもいれば周りからの目ももっと落ち着いたものになるだろうし、リガオンが夫なら仕事上で援護射撃でもできると年寄りは思ったんだろうね。

最初からすべてひとりで築き上げた会社じゃないから、しんどいんだろうね。
かといって、みんな放り出すわけにはいかない。
同じ年代の女性で給料がよければみんな遊びに行ったりしてるのに、それもままならない。

自分で逃げてきてやっと自分の居場所みたいなのを見つけたところで、また君は普通の娘じゃないなんて言われたら・・・ね。」


「おわっ・・・うっかり・・・俺は。
クリセラやナナミアみたいなつもりで出かけたのはまずかったって反省してたけど・・・エリンはそれがよかったんだな。

まずい・・・すっかり嫌われてしまったな。」