「ふー、寝た?」 襖の向こう側から理波ちゃんの声がした。 「まだー」 「だよねえ」 「壱星が襲いに来たら言ってよ。すぐに行くから」 「ばっ! ……何言ってんの!」 小さな大声で怒鳴られた。 人様の家で時間が時間だからね。 「ふーは何なのさ。いちくんと付き合うのに最初は過剰反応した癖に今日は結婚しろとまで言うし」 ブツブツと愚痴を並べる。 そういうところはちょっと子供っぽい。