「父親の、母だな。祖母もまた政略結婚で、イイトコのお嬢だったらしいから、息子である父親にだって強くは何も言えなかったんだってさ。
いつまで経っても出生届も出さない二人に業を煮やして、祖母が名前をつけて理波ちゃんを育てたんだ。
俺が生まれたのは、当時はまだ跡継ぎが必要だったからだ。
俺が生まれてすぐに未渡の家は実質なくなったから、あの二人も家がどうのって縛りがなくなって、それまでより更に自分のやりたいように生きるようになった。
結果がこれだ。……ごめんな、刹那」
信じようと、してくれたんだろう……?
俺たちは知らない何かを。



