「俺は――俺らは、いらないモノですらなかったんだ」 「……ふー」 「いてもいなくても同じモノだったんだ」 空気よりも見えなくて、一枚の紙切れほどの重さもない。 俺と理波ちゃんは、子供ではなかったのかもしれない。 「ずっと、理波ちゃんと二人で生きて来た。もちろん友達とかもいるけど……この前壱星に言われたあれ、よく考えたら当たってるかもって思った。 俺は『理想化された自分』になったんだよ。……なりたかった俺じゃない。自分の決めた、《俺》だ」 理波ちゃんを護れるように。