「そう。俺の家系――父親の方の未渡ってのは、ここよりももっと田舎で、昔ながらの伝統雁字搦めの家だったんだって。
それこそ推理小説にでも出てきそうな、地元ででかい顔してる地主みたいな。ホント、村を一歩出りゃそんな権限ないも同然のさ。
……祖父が一族を束ねていて、父親はその跡取りだった。
でも、祖父が健在の頃に何か大きな失敗があったとかで、一気に没落。共に、祖父は急死。一族は離散した。
父親はそこで終わらず、自分のやり方で今の、ある程度は高い地位についた。
祖父の死ってのが、俺が生まれたすぐ後。
母親との結婚は、政略結婚みたいなもん。



