「じゃ」 別れの挨拶に手を挙げて、踵を返した。 さーて、と。刹那をどうするかなー、 「お前の――」 滝篠の、あまり聞いたことのない張り上げた声に足が止まった。 いつも落ち着いた声で――それまた女子には『美声』と称賛されて――言葉を発するから、大きな滝篠の声というのは初めて聞いた。 お前? って俺? 周りに人はいないので、確認してみる。 「俺?」 振り返ると、滝篠が鋭い光の瞳でこちらを見ていた。 「お前のその、他人に対する興味の原因は何だ?」