呼びかけると、二つ先の教室の前にいた滝篠が足を止めた。 よかった、声、届いていたみたいだ。 滝篠はすっきりした動作で振り返った。 「何だ?」 「あ、っと……」 ストレートに問われた。 けど上手く答える言葉がない。 たまたま逢ったから追いかけてしまったけど、別段必要な話もないのだった。 えっと、滝篠に話しかけるチャンスが……って俺滝篠ファンじゃねえし。 一部熱狂的なそれがいるけど、俺は無関係だ。