刹那も弾かれたように俺の見ている方を見て、口を大きく開けた。 「おーい! 理波ちゃーん!」 刹那が大声で呼ぶと、こちらに気づいて手を振った。 ついでに周りにいう生徒も何事かとこちらを見ている。 「ふー、刹那ちゃんっ」 理波ちゃんが嬉しそうに破顔して、 「理波?」 あ? 誰かが理波ちゃんの名前を呼んだ。 俺でも刹那でもない。 俺たちは『ちゃん』付けで呼んでいる。 つか、最近よく聞くようになった声は…… 「いちくん!」 ……え。