白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】



「何だよ」
 


フルネームで呼んだように聞こえたのだろうか、面倒そうにこちらを見た。



「壱星、な」



「……は?」



「雅風でいいからって、何度も言ってるだろ」
 


と言うかほんとは、苗字で呼ばれたくないだけなんだが。
 



あの人らを親と思わないのは、ある程度は思いたくないからっていうのもあるかもしれない。




俺が生きるのを辞めたいくらい生きるのが嫌いで嫌なこともなく、だからこの継いでいる血はどうしようもないけど、たぶん俺は離れられない縛り。




せめてあの人たちが使っているものをして自分を呼ばれたくない。
 




……あー、ガキくせ。



「……わかった」