「何だよ」
フルネームで呼んだように聞こえたのだろうか、面倒そうにこちらを見た。
「壱星、な」
「……は?」
「雅風でいいからって、何度も言ってるだろ」
と言うかほんとは、苗字で呼ばれたくないだけなんだが。
あの人らを親と思わないのは、ある程度は思いたくないからっていうのもあるかもしれない。
俺が生きるのを辞めたいくらい生きるのが嫌いで嫌なこともなく、だからこの継いでいる血はどうしようもないけど、たぶん俺は離れられない縛り。
せめてあの人たちが使っているものをして自分を呼ばれたくない。
……あー、ガキくせ。
「……わかった」



