「おう? 何だ?」
暗幕は相変わらず重い。
けど、運ぶ教室まであと十数メートルってとこか。
「お前が決めた《お前》って、何なんだ?」
「――――――――」
―――――それは、また。
「うーんと、男女分け隔てなく接することが出来る奴。例あげるなら、風早とか結心とか」
「……誰だ」
胡乱に問われた。
「漫画のキャラだよ。クラスの女子が貸してくれて読んだことあんだ。
俺が決めた時期より後に出た本だから、まるっきりそれに倣うつもりじゃなかったのは当たり前だけど、まあ見りゃわかると思うけど、ああいう……人の中心に立って、そんでそれが相応しい奴になろうって、わざと決めた」



