白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】



刹那の家は、妹が入院、その治療のためにと両親は共働きなので、祖父母がいたここを離れてからは、家事のほとんどは刹那が請け負っていたらしい。
 



刹那の御祖父母も、既に他界されているということ。




同じ街だから聞けばわかったかもしれないけど、俺は刹那の苗字を憶えていなかった。




……その上、両親がまったく不在と言っていいうちの、小さな俺たちにそういった情報は入っていなかったのだと思う。




今度刹那の家にお邪魔して、お線香あげさせてもらおう。


お墓参りもしたい。




「刹那そこ座っていいよ」
 


俺が示したのは、向かいの席。



いつも理波ちゃんが座っているところだ。