白い闇に囚われてー刹那の風花ー【完】



「はー、すごいなお前」



「はは、ありきたりでお恥ずかしいけどな」
 


手を拭きながらはにかむ刹那。



いやいや、ここに十年の成長を見たよ。

 



食卓に並んだのは、豚肉の生姜焼き、きゅうりとミニトマトのマリネ(野菜も入った)、豆腐とわかめの味噌汁といった定番と言ったら定番だけど、それなだけに食べたくなるメニューだった。

 



俺もちょいちょい指示をもらいながら手伝ったけど、



「うちでは一人で作ってるから何て言ったらいいのかわからん」
 


と苦笑していた。