「ふーに逢ったあとはね。それまでは私、結構儚にきつかったんだよ。
両親の目はいつも儚にいってるし、私はお姉ちゃんだったからね。
その一言で行動も制限されてた。今から思えば、それは『刹那は一人でも大丈夫』っていう、両親の信頼があったからかもしれないけど、四つ五つのガキにそんな理屈わからないじゃん?
いつも捻くれてて、儚のこともちゃんと見てなかった。……いつも儚が羨ましかったんだよ」
「………」
黙って聞く。
「んでも、ふーと理波ちゃんに逢ってねえ……こんなのがいいなって思った。
そしたら儚が、いつも私を見てくれてることがわかってさ。私、儚のお姉ちゃんになりたいって思ったわけよ。
……私のなりたかった私に、私はなりたくなった」
なりたいって、思った。
「……なれたのか?」



