この学校は県内の公立高校の中でも3番目くらいに偏差値が高い。
蒼真はたしか勉強が嫌いで...それに加えできないって、中学のとき自ら言い張ってたのに。あれから必死に勉強したんだろうか。でもそんな急に、好きでもない事をやろうと思うもの?
じっと見つめると、彼は決まりの悪そうな顔をして頬を指で掻いた。
「いや...その、勉強はな、嫌いなんだけど...」
途切れ途切れ、言葉を探りながら話す蒼真。話せない事ではないんだろうけど、すごく話しにくそうに、言葉を詰まらせていた。
「実は....本当は、できる...んだ」
その言葉に一瞬止まってしまった。
「....えっ?」
勉強自体は嫌いだけど、本当はできる?なんだそれ、羨ましすぎるじゃないか。って、え?じゃあなんで、中学の時できないってあんなに言ってたんだ?
「勉強できないって言って...教えてって言われてわたし、教えてたよね?」
「ごめん...あれただの口実だったんだ」
「口実?」
「ただ、雪葉と一緒にいたかったっていう気持ち悪い理由」
恥ずかしさを紛らわせるように、眉尻を下げて彼は笑う。
言われてみれば確かに、蒼真は自分で悪いばかり言ってただけで、実際の点数や成績は見聞きしたことないな。
それにしたってなんだかこっちも恥ずかしい。今のことじゃないのに、心臓が活発に動き出す。気持ち悪くなんてない。過去の事だとしても、やっぱり嬉しかった。
「そ、う...だったんですか...」
なぜか敬語になってしまう。それを見て彼はまた、笑顔を見せる。
「うん。あの頃は雪葉が好きだったからな」

