オレンジの片想い


「じゃあまず....なんで、ここに?」



これは式中にも思ったことだ。誰ひとり蒼真の居場所を知れた者がいなかった。ここの高校に来ているってことは家も県内ってこと。それなら会えるんだからあんな別れ方しなくてもいいのに、と思ったけど、もしかしたら彼なりの理由があったかもしれないし。




「えーとな、実は俺さ、2回転校と引っ越ししてるんだ」


「えっ、2回!?」


「おう。1回目は、中2のあのときな。2回目は中3の夏休み辺りかな」



びっくりした。まさか複数回転校してただなんて。



「転校の理由、訊いてもいい...?」



何となく、話しにくい理由があるのかなと思って先にそう訊いてみると、彼は柔らかく微笑んで、少し間を空けて話し出した。




「別にそんな特別な理由はないんだよ。普通に親父の転勤で金沢まで行って、俺が中3、妹が小4に進級したときに、妹が新しいクラスに馴染めなかったみたいでさ」


「それで、夏休みぐらいにこっちに戻ってきたってこと?」


「そう。って言っても前住んでた所とは違うから、中学は違ったけどな。親父は向こうに今も残ってる」


「じゃあ今は、お母さんもいて3人?」


「うん。まあ俺としてもこっちの県のが馴染みあるし、高校も選びやすいし良かったんだ」



わたしが知らない間にそんなことが。だからここにいるんだね....って、ん?ちょっと待って。



「あれ?蒼真って...勉強、苦手じゃなかったっけ」