オレンジの片想い


露になった右頬。そこに触れる指先。




予想外の彼の行動に驚いて、思わずそちらを見てしまった。





「....雪葉....?」





名前を呼ばれて、やっと。





「....そう、ま」




あのときとは違い、視線が絡み合う。なんでだろう、泣きそうだ。




注目を浴びていた蒼真は1度席に着き、話し出す。わたしたちの会話に、陽翔も振り向いた。




「蒼真?」


「うお、木山?久しぶり!」


「ほんとに蒼真なのか?」


「おう。当たり前だろ」


「びっくりした....久しぶりだな」



本当に、久しぶりだ。あれから1年以上経ってるんだもんな。



「雪葉も久しぶり」


「...、うん...」




上手く言葉返せないや。ずっと心臓がドキドキしてる。この鼓動の意味は、驚きのせいなのか、それとも。





「__では体育館に移動しましょう」





あまり話を聞いていなくて、気がつけばもう入学式。わたしたちは話の途中で、体育館へ移動した。