オレンジの片想い


「ちょっと蒼真と高木ー!楽しいのはわかるけどさ、道わかってないでしょ!」



小走りで追いかけて、声が届く距離まで近づいてそう叫んだ。



「え?こっちじゃねえのか?」


やっぱりわかってないし...。


「全然違いますけど」


「おい高木、嘘つくなよ。そういえばお前地図係じゃねえか」


「あ?こっちだろ、どう考えても」



地図を取りだして東大寺の位置を探す。どうやら高木は地図係のことは忘れてはいなかったようだ。だけど忘れてないのに地図は出さずに歩いてたみたいで、忘れてたも同然。



「...高木、方向違ぇのは俺でもわかるぞ」



蒼真が地図を覗き込んで、高木を変な顔で見てそう言った。



「え?....こっちどっちだ?」



どうやら方角がわからない様子。なんだか高木の事、いろいろと心配になってきた。蒼真でもわかるのに、高木よ....。



「俺もう高木に地図持たすの怖いわ」


「あたしも木山くんに同意する」


「え、みんなひどい」


でも本当に、迷子になってしまいそう。地図は枚数があるから3人で分担しているのに。さすがに今の方角間違いは大きい地図を見てわかったけど、細かい地図もあるし。



「高木くんには申し訳ないけど、瀬川くんと交代したら?」


「日吉、申し訳ないって顔してないけどな!」


「たしかにな...蒼真、いいか?」