わたしの声に、スマホの画面から目を離して私の方を向いた陽翔は、一瞬目を見開いて、驚いていた。
だけどすぐに、ふっと笑った。
「...おはよう」
"いつも通り"を装って。
ああ、蒼真もこんな気持ちでいたのかな。だから、わたしが笑っていてもどこか痛そうな顔してたんだろうか。
たぶん今わたし、蒼真と同じ顔してる。
そう思った。
それ以上は話すこともなくて、わたしはそそくさと横を通り過ぎて席に着いた。
息を吐き出すだけの、大きな溜息を吐く。
...そういえば、蒼真は昨日の出来事を知っているのかな。蒼真が、小夏ちゃんに想いを告げに行った後、教室であった陽翔の告白の事。
やっぱり友だちだし知ってるのかな。
だとしたらたぶん、すっごい自分のこと責めただろうなあ。
自分は、いろんな人の事を傷つけていたんだ、って。それも全部受け止めて、今までのように接しようと努力してくれているのが、見て分かった。
そんな優しいところが大好きで、嫌だったんだよなあ。
だんだんと過去のものとして、思い出として心に刻み込まれていく。
ついてしまったかすり傷はまだ完治していないけど。
治っていくのが、どこか寂しくも思えた。

