オレンジの片想い


告白...か。


考えたことがないわけなんてない。彼といて、考えないなんてことはない。



でもわたしは、ただ臆病で。



「...、わたし、蒼真には告白しなよって言ったくせに、いざ自分のこととなると、怖い。なんて、卑怯だよね」



そしてまた、自己嫌悪に浸るのだ。


ひなせちゃんは、眉を下げてこちらを見つめた。

優しいから、言葉を選んでいるけど上手くできないんだろう。



いろんな言い訳を繰り返して、逃げて。ふたりが両想いだってわたしだけが知っているから、そんな軽率なことを言えたんだ。たとえ想いが通じていようと、言葉にする難しさは誰だって同じはずなのに。



わたしは、漫画の主人公のような意志は持ち合わせていない。



気持ちだけ知っててくれたらそれでいいとか、ただ好きでいさせてとか、言えるほどの余裕も強さもない。

第一、好きでいてもいい権利なんて誰しもが持っているのだから、許可を得る必要もない。


というか、わたしはもう好きでいたくないのだ。




「気持ちを伝えて、いっそのこと玉砕したら、諦められるかな」




手さぐりで、先は霧で見えない。だからこそ一歩踏み出すのに慎重になるし、臆病にもなる。それは仕方がない。


でも、そこを抜けていくには進むしかないんだよね。



「ありがとうね、ひなせちゃん」



微笑むと、彼女はなんだか申し訳なさそうに、ふるふると首を横に振った。