その日の昼休み、わたしとひなせちゃんはいつもは教室でお昼を食べるのを、場所を移動して人気の少ない階段で食べることにした。
なぜかって、さっきのことを話すためだ。
この話は人に聞かれたくはないから。誰も聞いてなんかいないかもしれないけどね、一応。
ひなせちゃんには、咲歩と月菜同様、小夏ちゃんの名は伏せて蒼真に好きな人がいる、とだけ話した。それからのわたしと蒼真のことは、ちらほらと話しているだけ。
あんまりいい話もでないから、暗い恋愛話ばかりして空気を重くするのもなと思って遠慮していたのだ。
それで、ずっと溜め込んでこれ以上は限界だと思ったときに、こうして彼女にぶちまけるのだ。
「もう本当に自分でもわけわかんないの。何がしたいんだか全然、わからなくて」
蒼真の気持ちなんて自分の気持ちに気づく前から知っている。ただただ、今は今の自分の気持ちが知りたい。自分じゃ気づけない何かがあるのかもわからないけど、とにかくこの靄のかかった心の中を誰かに話したかった。
ひなせちゃんは、静かに相槌を打って話を最後まで聞いてくれた。
「ごめんね、こんな話。もう全部吐き出しちゃったけど」
一通り話し終わったあとで、やっぱり嫌な空気になっちゃうかな、と思って、それを軽くするべく苦笑いでそう言った。
すると彼女は、ぶんぶんと顔を横に振って、それを否定した。
「いいよ。遠慮、しないで」
今、そんな優しい言葉をくれたら、甘えてしまうじゃないか。
なぜか不意に涙が出そうになって、その意味もよくわからずに、とにかくぐっと堪えて、笑顔をつくった。
「...ありがとう」
言うと、彼女もふ、と笑う。
そして、弁当を少しずつ口に運びながら、話し出す。
「雪葉ちゃんは....告白、するって、選択肢は...ないの?」

