教室に入ると久しぶりに見るみんなの顔。ひなせちゃんと見回していると、左側から椅子を引く音が聞こえて、心臓が跳ねた。
すう、と息を吸って落ち着かせて、後ろを向いた。
「蒼真....おはよう」
「おお、久しぶりだな」
...やっと、見れた。
今のわたし、お預け食らってた犬みたいだ。ずっと待ってて、やっとその笑顔を見れて、声を聞けた。それだけでもう愛しくて、口元が緩んだ。
「うん、久しぶり。焼けたねー」
「そりゃあな。ほとんどプール入ってるから直射日光浴びるし」
「夏だもんねえ。それに髪の毛もすっきりしちゃって」
「泳ぐとき邪魔だからな」
夏休み前は、少し長めだった髪は短髪になっていた。その変化にさえ、ぎゅーって胸が締め付けられた。
「雪葉、手出して」
「...?」
言われるがままに右手を出すと、蒼真は彼の左手をわたしの手の横に並べた。その瞬間、手と手がぶつかって一気にその部分が熱を帯びてゆく。もともと気温が高いのに、さらに体温まで上がって暑い。
「ほら。この色の違い。やべぇな」
「え...あ、ああ...ほんとだ、すごい」
なんだ、色の違いを示すためだったのか。
それでもまだ頬は火照っていて、蒼真の親指とくっついた小指から、熱が伝わっていないかと心配になった。
....手、大きい。
骨ばった大きな手に、わたしとはちがう"男の子"だと感じさせられて、ドキドキした。

