オレンジの片想い


夏休みは、部活のある日数も多すぎず少なすぎずな適度で、無意識に水泳部を見ていた。



会うことができないし、用事もないから連絡もほとんど取れなくて、だから余計に見つめてしまう。見るたび話したくて、笑った顔が見たくて、焦がれた。


蒼真のことが浮かばない日なんてないくらいだった。


水泳部には小夏ちゃんもいるから、わたしが知らない間にふたりがどんな会話をして、距離を縮めていっているのか、わからなくて心配にもなる。

自分から連絡を取ることも文面に悩んでできなくて、携帯の音に敏感になってしまう。期待して開くけど、大抵は蒼真じゃなくて、毎回肩を落としてしまったり。



夏休みが早く終わればいいのになんて思ったの、初めて。



レンズを覗き、水泳部を画面に写しシャッターを押した。




部活が終われば、いつものように陽翔の後ろに乗せてもらう。


だけど最近は、躊躇ってしまう。

夏休み前に聞いたあの言葉が原因だ。



陽翔は何も変わらない態度。そりゃそうだ、聞こえてないと思っているのだから。だからわたしも聞こえていなかったフリをしている。自分から「あれなんだったの?」なんて訊けるはずもなかったし。



でもやっぱり、あの時から今までずっと、陽翔と話すたびに思う。




もしかしてわたし、傷つけてるんじゃないかって。


自意識過剰?勘違い?



わからない。でももし、もし。



......陽翔が、わたしを好きだったら。



わたしはどうするのが正解なんだろう。今みたいに避けても傷をつけてるかも。避けなくて蒼真を見てるとこ見られても傷つける。期待させてもだめ。



いちど疑えばそうとしか思えなくなってきて、彼といるときは蒼真の方を見ないように意識してるし、そうしたら部活内でわたしから話しかけることが少なくなっていった。




そんなままで、わたしの夏休みは終わった。