「じゃあ、おつかれさまでした」
「はーい、おつかれさま。またね」
部活時間が終わって、先輩方に挨拶した後、陽翔と一緒に駐輪場へ向かう。彼の自転車に乗せてもらうのは、もう既に日常のひとつとなっていた。いつも乗っているのだから当然、慣れてしまって、今は陽翔にしがみ付く事もない。
自転車が動き出して、徐々に加速していく。
「....なあ雪葉」
乗せてもらっているときは、無言の時も多い。お互いの顔が見れないからだろうし、わたしからもあまり話しかけることがなかったけど、その沈黙がなんだか落ち着いていた。だけど今日は、珍しくわたしに話しかけてきたのだ。
「ん?どうしたの、急に」
顔を上げて陽翔の方を見ても、彼はずっと前を向いていたから、表情は窺えない。
ただ背中を見ていると、彼はわたしの頭をフリーズさせるような、そんな衝撃的なひとことを躊躇いがちに問いかけた。
「.....お前さ、蒼真のこと好きだよな?」
え。ちょっと、待って。何急に。やっぱり気づいてたの?
「.........」
焦って言葉が出なくなって、今更弁解しようにも黙り込んでしまった後では説得力に欠ける。
だからと言って急に、うんそうだよ、なんて肯定もできなくて。
そんなわたしの空気を感じ取ったのか、陽翔はふっと笑う。
「ああー....やっぱりなあ」

