オレンジの片想い


期末テストも終わり、もうすぐ夏休みだと皆が浮かれ出した頃。


...最近、小夏ちゃんに会わなくなった。校内でもそんなに会うこともなくて、そのことに正直ほっとしていた。



時間は止まってなんてくれるはずもなくて、それに流されるように、目の前で起こっては過ぎていく日々。ついていくのが必死だった。

蒼真と小夏ちゃんの距離が近づいていくのを、わたしはただ見守るしかできないでいたのだ。



「雪葉」


「えあ...あき、と」



今は、部活時間。


1年のわたしと陽翔は他の部の部活風景を撮りに、運動場が上から見渡せる、2階の渡り廊下に来ていた。

ちなみに新入部員はわたしたちだけ。


運動場を見ていたのに、自然と目はプールに向かっていて。

ぼーっと水泳部員が泳いでいるのを、無意識に見てしまっていたから、陽翔が声をかけたのがびっくりした。



「ごめん。何?」



...見てたの、気づいたかな。


陽翔は当たり前だけど蒼真の友だちだから、蒼真に好きな人がいることを知っている。陽翔にはわたしが蒼真を好きだって言ってはいない。



だからなんとなく警戒してしまっていると、陽翔は変わりなくわたしにプリントを渡した。



「昨日渡すの忘れてたけど、夏休みの予定表」


「あ...ああ、ありがとう」


予定表か...なんだ。ぼーっとしてたこと、指摘されるのかと思った。



何も訊いてこない陽翔に少し安堵して、予定表を折り曲げてスカートのポケットに入れ、レンズを覗きこんだ。

次は、意識して水泳部の方は見ないように。


タイミングを見計らって、運動場全体を写した。確認してみると、左端に、水泳部が少しだけ写っていた。