オレンジの片想い


それから2日経ってから携帯が鳴って、開けば蒼真からだった。



『ちゃんと誘えた』



内容は、何の絵文字もないただそのひとこと。

だけどわたしは、シンプルな文章から蒼真の嬉しそうな顔が自然と浮かんだ。




...蒼真の恋愛相談相手となってから、わたしが最初望んでいた通り、彼との距離は格段と近くなった。こうやってメッセージやり取りすることだって当たり前。話の中身は小夏ちゃんの事も多かったけど、他にも他愛のない会話だってできたし、それだけで満たされた。


わたしって単純だなって思う。



「.....はあ」



その代わりに、こうやって溜息を吐く回数も増えた。




わたしの嘘が上手いのか、それとも蒼真が単に鈍いのか。

それはきっと両方で、だからこそ、彼はわたしの気持ちにますます気づかないのだ。



でもそれでいい。気持ちを伝えてしまったら、きっと蒼真は優しいから「ありがとう」と言って笑うと思う。そして、変わらずに接しようとしてくれるだろう。


だけど、完全に戻ることなんてできないでしょ?

何もなかったことになんてできない。



そんな風にして、今の関係を崩してでも気持ちを伝いたいとは...わたしは思えない。



不意に視界がぼやけて、咄嗟に上を向いた。




....本当は伝えたい。小夏ちゃんの話を聞くのも辛いよ。嘘をつくのも罪悪感がある。笑うのだって苦しい。でも言えないよ。



ぶつかる勇気ないの、ねえ。



決めたのは自分なのに、道に迷ってしまった。どうやらこの道は思ったよりも険しかったらしい。

じゃあ、どれを選べばよかったのかって、それもわからない。

もうぐちゃぐちゃで、今あることに精いっぱいで。




ただこうして、涙を堪えるしかできない。