オレンジの片想い


後ろ、と言われて意味するのは、二人乗り。法律で禁止されてる、漫画とかでよくある、あれ。



「え...わ、わたししたことないんだけど」


「んー、まあ大丈夫だって。ちょっと外暗いし、送る。ほら乗れ!」



陽翔に流されて、恐る恐る座る。なんだか安定しないし、ちょっと怖い。よく見る学生たちはいつもこんな不安定な乗り物の後ろに乗っているのか...。



「乗ったかー?」


「う、うん」


「じゃあ、しゅっぱーつ」


「わっ!」



漕ぎ出した途端に、バランスが取れなくなって陽翔にしがみつく。後ろから抱きつく姿勢に、羞恥心がこみ上げる。だけど離すことができない。



「....ご、ごめん...」


「いいよ、掴まってて。離されたら俺も怖い」


「ありがと...」



大きくて、広い背中。不思議と、安心した。徐々に慣れてきて、風が気持ちいい。



「なあー、雪葉」


「んー?」


「明日は、俺ん家の近くの喫茶店でやろうか」


「....なんで?」


「雪葉が辛さ我慢してる顔、俺が見るの嫌だから」




_____ああ、なんて優しいんだろう、この人は。


辛いとか悲しいとか、そういうのじゃなくて、目の前にある彼の体温が温かくて、泣きそうになった。



「ありがとう...」



呟いても、陽翔は何も言わなかった。





その時、彼の瞳がわたしと同じ色をしていたこと


背中を見ていたわたしには知るはずもない。