オレンジの片想い


気がつけば、最終下校の時間が近づいていた。当然初めて見る先生がドアから覗き、わたしたちに帰宅する用意をするよう促した。



「ふう...つかれた。お腹空いたー」


「だいぶはかどったな」


「うん、すごく!」


「じゃあ帰るか」



帰る支度が整ったところで、陽翔の言葉に頷く。

ドアに手をかけて、まだ帰る準備をしている小夏ちゃんと蒼真を振り返った。



「じゃあ、またね。ふたりとも」



手を振りながら彼らに聞こえる音量で言うと、わたしの挨拶に気が付いたふたりはわたしにそれぞれの"ばいばい"を言った。


....一緒に帰るのかな。


そういえば蒼真が何通学なのか知らない。小夏ちゃんと同じ中学なら電車かな?でも自転車とかバスでもあり得るし...でも、駅まで送っていくだろうことは、予想できた。



気にすんの、やめよ。後ろから眺めるなんてことは回避できたし。

言い聞かせ、陽翔の隣を歩いた。


靴箱で靴を履き替え、陽翔は駐輪場の方へと足を運ばせる。有無を言わせないような歩くスピードについていきながら、問いかける。



「陽翔、自転車通学なの?」


「ん?ああ。悪ぃ、先々行って。雪葉は?」


「わたし徒歩」


「徒歩か...」



少し奥に停めてあった彼の自転車に辿り着くと、陽翔はほんの少し考え込むような仕草をした。そのあと、わたしにひとつ提案を投げかける。



「後ろ、乗るか?」