「あ、そういえば。」 何か思い出したように、声を出した秀。 「この前、パスタを注文したお客様から“スプーンは?”って、聞かれた。 ……イタリアでは、あり得ないんだよね?」 と、私を見てきた。 「えぇ、そうね。スプーンを使うのは日本であって。 イタリアでは、そういうのはないわ。」 私は、またクルクルとパスタを巻いた。 …おじさんの、お店だからかしら。 こういった面でも、しっかりしているのね。 私は、一口パスタを食べた。 …普通のパスタ。 私のパスタは、誰が作ったって変わらないパスタ。