少年陰陽師 奥州平泉奇譚

捨て子。

首に組み紐を通した勾玉をかけられ雪降る中、1通の手紙と共に。


『龍神と人との間に授かった子です』


唯、一筆添えられただけの手紙。


銀髪に左右異なる瞳の色。左目は紺青色、右目は銀色をした赤ん坊。

祖父は、こんな手紙を信じる者も引き取り手もいなだろうと判断したそうだ。



以来、手紙の件は半信半疑で僕を育てることにしたのだと聞いている。


人でなく龍でもない、異端の身。

龍神の血を半分ひいた僕の力は、かなり強いらしい。

人には視えないものを視たり、人には聞こえない音や声を聞く。

また、利き手の左手は触れた人の過去を読み、未来を予見する。