「どうしてだよ!

何故そんなに頑張るんだ、無理をするなよ!」




「無理なんかしてない。

僕は自分にできることをしてるだけだ」



僕は、握り返した八雲の手を振り払う。




「分からず屋!」




「わかってないのは八雲の方……?!」



僕は、言いかけて微かな音に耳を澄ませた。





雨だ!……




「……雨の音が聞こえる」


「祐?」



僕は、フラつく体を気力で支え部屋の出口へと進んだ。



体を支えようとする八雲を振り払い、廊下から居間へ抜けガラス張りの窓から見える寮の中庭を見る。