偶然?知り得た情報に左手が震え、背筋が冷たくなった。



隣りの席の有川潤が震える僕を心配し、声をかけた。


「……何でもない」

掠れた声で、僕は答える。



「何でもないって顔か!真っ青だ」


件寂円先生が、潤に僕を保健室へ連れていくように言い、僕は潤に背負われた。


怪異が1つ、明らかになるごとに体が弱っていくような気がする。


戸隠の家を離れ平泉に入って以来、気の乱れに敏感すぎることを僕はひどく実感している。


保健室へ向かう途中、不安が高まり更に気分が悪くなった。