「雨宮くん?」

「……大丈夫、少し……じっとしてれば治まるから」


僕は、やっと答えて膝を立て起座姿勢になり、体が回復するのを待った。


静香先生は、僕が転校時の調査書どおり本当に体が弱いと信じているのかと思うと、心配顔で見守ってくれているのが気の毒で、ウソをついていることが心苦しかった。


僕は、保健室で気分が幾らかマシになるまで休み、サボりついでに教室に向かう階段に座り込み、スマートホンを取り出し、戸隠の父さんに連絡を入れた。