自分も一時期吸っていたからそれなりに耐性もあるし。……だから本当に、嫌いなわけじゃないのだけど。

「じゃあたとえば、わたしが煙草臭いって言ったらわたしの前で吸うのやめてくれるの?」
「その必要がないからお前といると楽って言ってんだろーが」

わかんねぇやつだな、と敦史は面白くなさげな顔で煙を吐き出す。
そうか。そりゃそうだ。わたしの前ではそんなこと気にしなくていいからわたしと付き合うのがアリなんだ。野暮な質問。



……でも。

「ほんっと身勝手な男だな」
「だって俺も俺が好きですから。……まあそれだけが理由じゃないけど。咲希だって俺といると楽でいいだろー?」

確かに。こいつとふたりのときはカシスオレンジなんて挟まなくても初っ端からがんがんビール飲めるし。遠慮なく肉も食べられるしペラペラ喋れるし。

たぶんいちばん楽だ。元カレと過ごしていたときよりもずっと。これからもずっと、



わたしは。