‥入学式は終わった。





生徒会長のお祝いの言葉も、

終わった。







昨日まではまだかまだかと待ち望んでいた、

登校初日。







何故こんなにも気分が落ちているのだろうか。






入学式が終わり、最初のホームルームの時間。





俺は、そんな疑問と戦っているのだった。


























左をふと見つめると、





校庭にたくさんの桜が咲いていた。










俺の席は、教室の窓際の一番後ろ。







名前の関係上、一番最後なのだが、





正直、かなりいい席だと思う。








春の暖かい日差しが窓から差し込んで、


なんだか心が安らぐ。






至福のひとときとなりそうだ。









まぁ、そこも、



あと二週間もすれば席替えで他の奴に取られるのであろうが。






ふっ‥と視線を前に移すと、

担任がやや早口気味で話をしていた。




「‥えー、じゃあ、まず自己紹介だな!



最初は先生からいくぞー。俺の名前はー‥」










いかにも体育会系な男性教師。



ハズレではないわな。






俺は苦手だけど。









自己紹介は、廊下側の一番前の奴からするらしい。








‥まだしばらくのんびりできるな。






そう思い、また窓の外に視線を移す。






そう、ぼーっとしていると、


なぜ自分がこの学校を選んだのかと、





自己嫌悪に至りそうになる。









俺は、元々この高校に進学するつもりではなかった。



あまり偏差値が高いわけではないし、


評判が特別良いというわけでもない。






しいて良いところを言うなら、


家から10分という距離くらいという、




あまり目立った良い点が無い学校。






自慢じゃないが、


俺は頭が悪いわけではないので、




もっと上の高校を狙おうと思えばいけたはず。







そんな俺が、



この学校を選んだ理由、







それは、


生徒会長に






一目惚れしたからだった。