『まあ、とりあえず彼女がいるかどうかだけでも聞いてみなさいよ。玉砕したら慰めてあげるから』


『はあ……。他人事みたいによく言うよ』


『だって他人事だもの』


『ひどっ! まあ、そうなる可能性の方が高いよねー。っていうか、第一どうやって告白すればいいと思う? そもそも家庭教師に告白して振られた場合、そのあとめちゃくちゃ気まずくない?』


『それはその時に考えたらいいんじゃない? 女子高生から告白されるなんて、大学生からしたら儲けものよ』


 涼しい顔で喋るミヤコちゃんが目に浮かぶけど、どの目線で言ってるんだと思う。


 でも、そのくらい軽いノリで言われた方が気負わなくて済むから楽だ。


『……ミヤコちゃんって、たまにオヤジっぽいとこあるよね』


『うるさいわねっ!』


『あはは、ごめん。でも、聞いてくれてありがと。気が楽になったよ』


『まあ、それならよかったけど』


 あたしが素直にそう言うと、電話の向こうからは照れたようなぼそぼそ声が聞こえてくる。


『ま、続報を待つことにするわ』


 できることがあれば協力するからという言葉を最後に、通話が終了した。