それでようやく現実なんだと分かったけど、すぐに気持ちを切り替えて残された人生を前向きに生きることもできず。

かといって、毎日落ち込むわけでもなかった。

たぶん私は、自分のことだというのに、現実から目をそらしていたのかもしれない。


現実逃避していた当事者の私よりも、家族の方が落ち込んでいて、逆にこっちが気をつかうくらいだった。


家でも腫れ物扱いで気まずかったし。
友達と遊んでいても、大学に行っても、もう長くは生きられないと思うと、全てがむなしく感じた。


だから、バイトもサークルも大学も、全部やめて。

体が元気なうちにケニアへ行こうと、半ば投げやりになって決めた。


ケニアでやりたいことがあるわけでも、特別行きたかったわけでもない。


今いる日本から遠く離れたところなら、どこでも良かった。

遠く、とにかく遠くへ行きたかったんだ。


遠くに行ったところで、何も変わらないのは分かっていたけれど......。