天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

 案内された二人掛けのテーブルに向かい合って座る。
 この一対一の図式に緊張して肩に力が入ってしまい、目を合わせられない。

「聡美さん。そのプラチナのネックレス、素敵ですね」
「あ、ありがとうございます」

 褒められた! お世辞かもしれないけど素直に嬉しい!
 おかげで少し緊張が解けて口が回るようになった。

「18金のネックレスと迷ったんですけど、プラチナの色の方が色を合わせやすいかな、って」
「聡美さん、18金ってなんなのか知ってますか?」

 途端に晃さんが身を乗り出すようにして聞いてきた。
 宝飾関係では必ずといってもいいほどよく聞く18金。

「純金じゃないだけはことだけは知ってますけど、それ以上はわからないです」
「その18という数字はね、分率なんですよ」
「分率?」
「はい。金は24分率で表示するんです。つまり金100パーセントが24金なんです」
「えっと、じゃあ、18金は……」
「金が75パーセント。残りの25パーセントは他の金属です。割り金(わりがね)って言うんですよ」

 純金はとても柔らかいから加工しやすい。
 でも柔らかすぎて型崩れしやすいし、重いし、傷も付きやすい。
 だから他の金属を加えて合金にして、その欠点を補う。
 加える金属の種類によって色も好みに変えられる。