天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

「それじゃ、行きましょうか。ここから近いので歩きましょう」
「は、はい」

 スーツ姿の男性と自分が肩を並べて歩いていることが、なんだか不思議でならない。
 私たち、これから一緒に食事をしにいくの。
 道行く人は、私たちのことをどう見ているかしら。
 上司と部下? それとも友達同士? それとも……?
 晃さんは、隣の私がこんなにドキドキしているなんて思ってもいないんだろうな。

「ここです。よく来る店なんですよ」

 晃さんの言った通り、お店はすぐ近くにあった。
 明るい黄色の壁に小さな緑の木窓が開いてる、こじんまりとした可愛らしいお店だ。
 晃さんが開けてくれた白い扉をくぐり、店内に入った。
 温かい色合いの照明と、たくさんの観葉植物と、白い壁に飾られた鮮やかな額入りの絵が素敵だ。
 晃さんって、こんなオシャレなお店を知ってるんだ。