へえぇぇ、結構大きなエメラルドじゃないの。

 俗に「エメラルドカット」と呼ばれる、長方形の四隅の角を削った「ステップカット」は、ブリリアントカットほどには厚みも、複雑な角度も無い。

 だから輝きという点では見劣りはするけど、そのぶん宝石の色合いと透明度が引き立つ。


 これ、綺麗な緑色だなぁ。濃い色だし。

 石も大きい。これなら多分1カラット以上はあるんじゃないかな?

 メインのエメラルドの脇を固める、装飾用の小粒なメレーダイヤも綺麗に輝いている。

 小粒とはいえ、それなりの品質のダイヤを使っているんだ、きっと。


「これはとても良いお品ですね」

「この指輪をね、急いで綺麗にして欲しいのよ」


 褒め言葉に気を良くしたのか、女性はニコッと笑ってそう言った。


「ずっと仕舞い込んでいたんだけどね、久しぶりに明日の息子の結婚式に着けようと思ってね!」


 言われて良く見れば、なんとなくリングの部分がくすんでいるような。


「これ、プラチナじゃなくて金のリングなんですね」

「最近じゃプラチナばっかりでしょ? 石付きの金のリングは、なかなか見ないわよねぇ」


 お客様はちょっと自慢そうだ。