天然ダイヤとイミテーション・ビューティー ~宝石王子とあたしの秘密~

 境遇だけで言えば、私の方がよっぽどグレース・ケリーよ。
 これ見よがしにバッグ持ってお腹隠してやろうか。

 しかも私に冷淡だったのはお父さんだけじゃない。
 いとこ同士の間での、私の子どもの頃のあだ名は『お茶っ葉』ちゃん。
 最初はどういう意味なのかわからなかったけど、ある日やっと気づいた。つまりそれは……出がらしって意味だって。

 絞りカス。美しい姉に美点を根こそぎ持っていかれた、残りカス。

 当時はみんなまだ子どもだったし、深い悪意はなかったろう。
 今ではもうそんなあだ名で呼ぶ親戚はいないけど、当時幼かった私の心がメチャクチャ傷ついたことは事実だ。

『お茶っ葉ちゃーん。お茶っ葉ちゃーん』

 からかわれるたびに大泣きした。
 そしてその度に間に入って私を庇うのは、決まってお姉ちゃん。
 そのことがさらに私の心を傷つけた。

 思えば、法事とかお盆とかお正月とか、親戚大集合の行事関連は見事に暗い記憶ばかりだわ。