あたしは両手の拳に力を込めて力説した。

 それでも近藤さんは、気がかりそうな様子であたしを見つめている。

 本当に彼の責任じゃないんだから、ここの誤解はちゃんと解かなきゃ!


「近藤……晃さんの講習、面白いです! 次回もあたし楽しみにしてます!」


 力こぶの入った言葉を聞いて、彼は嬉しそうにふわっと笑った。

 穏やかな笑顔に戻っていく様子に、思わず見惚れてしまう。

 イケメンの笑顔って威力あるなぁ。まともに食らうとグッとくる。

 ちょっとした兵器だこりゃ。殺傷能力高そう。この人にコロッといっちゃった女の数ってどれくらいだろう。


「聡美さん、何月生まれですか? 誕生石は?」

「し、4月です! ダイヤモンド!」

「ダイヤモンドの石言葉は?」

「え? えーっと、石言葉は……」

「あ、やっぱり今日の講習聞いてなかったんだ」

「す、すみません!」

「ダイヤモンドの石言葉はね、永遠の絆、純潔、不屈だよ」


 慌ててバインダーを開き、内容を確認すると確かにそう書いてある。

 永遠の絆とか永遠の愛とかは、エンゲージリングのキャッチコピーでよく聞くから知ってたけど。


「不屈って言葉もあるんですね」

「ダイヤモンドって名前はね、ギリシャ語で『征服し得ない、屈しない』って意味に由来してるんだよ」