怒りに赤く染まった顔を歪ませて、あたしの顔に指を突き立て、怒鳴りながらこいつは嘲笑った。


「ブスが顔に傷までつけたら、もー使用不能だわこりゃ! ご愁傷さまでした! チーン!」


 店内が、静まり返った。

 みんな身動きもせずに立ち尽くしている中で、目の前の男はとても満足そうな表情をしていた。

 ざまあ見ろと言わんばかりの目で、あたしを見ている。


 全員の視線があたしに集まっていた。

 あたしの、顔に。

 気遣うような、憐れむような、そんなものが全部入り混じった複雑な視線。


 あたしは、その静寂の中でゆっくりと手を動かした。

 そして無言のまま、パッドに指をかける。

 そして……


 ベリッと一気にパッドを剥がし、全肺活量を駆使して大声で叫んだ。


「あたしが傷物で、それがどうした文句があるか!! 傷も痛みも、全部あたしの勲章よ!!」


 そして剥がしたパッドを丸めて、思い切りこの男の顔面目掛けて投げつけてやった。

 パッドはビシッと鼻のてっぺんに当たって、目の前の勝ち誇っていた男の顔がクシャクシャになる。

 それがあんまり滑稽で、あたしは声を上げて笑った。


 あぁ……

 すっっごくサッパリしたああぁぁぁーー!!!