「つまりぃ、貴石ってのが選ばれた特別な存在で、半貴石はその他大勢ってことですね?」

 目をクリクリさせながらそう質問する詩織ちゃんに、近藤さんが頷く。

「ちょっと乱暴だけど、そうとも言えるかな。半貴石は、貴石に比べれば流通価格が安いから」
「うんうん! やっぱり綺麗な物には選ばれるだけの価値がありますからねー!」

 詩織ちゃんが「うふふん」と満足そうに笑う。
 でも私は彼女に合わせて笑うことができず、今の話を心の中で噛みしめていた。

 人は貴石に憧れる。貴石の大きな価値をだれもが認めているからこそ、半貴石との区別の論争が続いているんだ。
 選ばれた存在である貴石。そしてその他大勢の、安価の半貴石。
 まるで……お姉ちゃんと私みたい……。

 その後も勉強会は順調に続いた。
 宝石に関する基本的な知識や、覚えていたら販売に役立ちそうなミニ知識をたくさん教えてもらった。
 ただ、どうしても私の心は上の空で。近藤さんには申し訳ないけれど、あまり頭の中には入ってこなかった……。